小児の風邪薬の処方例【海外との違いは?】

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小児の風邪薬の処方例【海外との違いは?】

こんにちわタカヒロです。
よく患者さんから受ける質問で、子供の患者さんからのお母さんから「お薬ってこんなに沢山飲まないといけないんですか?」とか「抗生物質を1週間以上飲んでも大丈夫なんですか?」といった質問を受けます。
今回はなぜ小児の風邪薬は沢山種類が処方されるのか?沢山薬を飲んでも大丈夫なのか?といった疑問に対する答えを記事にしてみました。
お子さんの薬を始めてもらうお母さんの疑問が少しでも解決できればと思います。

小児の風邪薬をもらったお母さん近くの小児科の先生は風邪で受診すると抗生剤とか鼻水・咳止めとか沢山の薬を処方してくれて、薬を飲めば症状が治まってくるから助かるんだけど、子供の頃からこんなに沢山薬を飲んでも大丈夫なのかしら。抗生剤は飲み続けると抗生剤の効かない強い菌ができちゃうって言うけど心配だわ。他の小児科の先生も同じように薬を出すのかしら。

小児の風邪薬は必要か?

小児の風邪薬は必要か
小児の風邪薬は本当に必要なのでしょうか。賛否両論はあるかと思いますが、それぞれの家庭の事情によっても必要かどうかは変わってくるかと思います。具体例を挙げて説明しましょう。また海外では風邪薬の処方の日本とは全く違います。どんな理由があるのでしょう。

小児の風邪薬は必要か?

本当に小児の風邪薬は必要なのでしょうか。
主に処方される薬:4種類

  • 抗生物質
  • 抗菌剤
  • 鼻水止め
  • 咳止め・解熱鎮痛薬(消炎剤含)

それぞれ処方される理由を考えてみましょう。

小児の風邪薬:抗生物質・抗菌剤

風邪の時になぜ抗生物質や抗菌剤が処方されるのでしょうか。
この薬は主に2次感染を防ぐために処方されることがあります。
空気中には色々な菌がただよっています。健康な時はこの菌たちは喉や鼻にくっついて殺菌されて鼻水や痰と一緒に体外に排出されます。また健康な時はのどが唾液で潤っているので唾液の膜が出来ていて、菌が粘膜に直接くっつきにくくなっています。しかし風邪の時は体の中の「免疫」という菌を殺す働きの細胞が風邪の菌(本当はウイルスですがここでは菌で統一します)と闘っています。免疫は体に侵入してしまった風邪の菌と全力で戦っているため、健康な時にはすぐに殺してしまう空気中をただよっている菌まで手が回らない状態になっています。また風邪の時は喉が荒れているため、健康な時よりも風邪以外の菌がのどにくっつきやすくなっています。空気中をただよっている菌の中に肺炎の原因になる菌もいます。この肺炎の原因となる菌が喉にくっついて菌が増えると肺炎になってしまうのでこの肺炎の原因になる菌を殺すために抗生物質や抗菌剤が処方されます。

じゃ抗生物質は飲まなくても良いの?

という疑問が浮かぶと思います。
風邪の中には溶連菌感染症という溶連菌という菌が原因で風邪のような症状を起こす菌もいます。溶連菌感染症にかかった場合は、抗生物質(主にセフェム系という抗生物質が使われます)を服用しないと中々菌を殺すことが出来ず、菌が長時間体内にいて溶連菌が腎臓で増えてしまうと腎機能が悪くなってしまいます。腎機能が悪くなると血尿になっておしっこがオレンジ~赤っぽくなってくるので分かります。

しかし、私の子供も溶連菌から急性腎不全になってしまったことがあり、受診して即入院になったことがあります。子供は「おしっこが赤かったけど怖くて言えなかった」と言っていました。風邪で熱が出た後は、溶連菌感染症の可能性もありますので、風邪だから、と病院に行かないでほおっておくのではなく、きちんと病院で先生に診てもらったほうがいいですね。小学校2年生の時に急性腎不全で入院して1週間程度で退院はできたのですが、中学卒業まで経過観察(また悪くなることがないかチェックすること)で中学校卒業まで6か月~1年に1回病院に通っていました。

以上より、

処方された抗生物質・抗菌剤は日数分きちんと飲み切ったほうが良いです。

もし抗生物質や抗菌剤が処方されている理由が分からない場合は医師や薬剤師に聞いて確認するようにして下さい。

小児の風邪薬:鼻水止め

主に抗アレルギー薬が処方されます。

最近では市販薬(OTC)でもアレグラやアレジオンが発売されていますのでご存知の方も多いと思います。
風邪の時は特別鼻水を止める必要はありません。しかし保育園お子さんをに預けるのに鼻水が出ていると預かってもらえない保育園もあるようなので、鼻水止めが必要なお子さんもいると思います。必要であれば医師の先生にお願いしましょう。保育園で預かってもらえない事を説明すれば大抵の先生は鼻水止めを処方してくれるはずです。

小児の風邪薬:咳止め

咳止めはほとんどの風邪で処方されている感じです。
咳止めの薬でよく患者さんに聞かれることがあります。
「今咳出てないんですけど飲んだほうが良いですか?」という質問です。
風邪のひきはじめの時で特に熱が高い時は私達の体の中で菌を殺す働きを持つ免疫が全力で菌と闘っています。
私達の体は菌と戦うことで手がいっぱいで他のことは後回しになってしまいます。
本来咳は喉に入った異物を体外に吐き出すために出るので体が全力で菌と闘っている時は咳を出す余裕がありませんので熱が高い時に咳が出ることは少ないです。

しかし、菌との戦いにある程度勝って、体に余裕が出てくると今度は咳を出す余裕も出てきますので、咳が出始めることになります。
風邪の時に咳が出ていないけど咳止めを処方する医師の先生は何日か後に咳がで始めるのを見越して咳止めを処方しているということです。
ですから自分は「今咳は出ていないのですが咳止めも飲むんですか?」
という質問に対しては「これから咳が出始めると思いますので、咳が出るようになったら飲みはじめて下さい。」とか心配しているお母さんには
「心配であれば今日から飲みはじめても大丈夫ですよ、咳を予防する効果もありますので。咳が出ない状態で飲んでも体に悪いことはありませんから」
などと説明しています。

また夜間は咳が出やすくなります


これは私たちの体に交感神経と副交感神経という自律神経があり夜間は副交感神経が優位になるからです。
自律神経とは自分が意識しなくても勝手に動く神経のことで、皆さんは心臓を動かそうと思って動かしているわけではなく、心臓は勝手に動いていますよね。このような心臓を動かしている神経のことを自律神経といいます。
交感神経とは人間が何かと闘う時に働く神経で、心臓の動きを早くして体中に血液を流したり、血管を収縮したりする神経です。
副交感神経とは人間が休息をとる時に働く神経で体中の筋肉を緩めてリラックスさせたりする神経です。

夜間は副交感神経が優位になるため喉の気管支の筋肉も弛緩(力が入らなくなること)しますので、寝ている時に通常は丸い状態の気管支が楕円につぶれてしまい気管支の内側が狭くなってしまい咳が出やすくなります。
自分も経験がありますが、夜中に子供が咳をしていると、背中をトントンしたりとか起きてだっこしたりとかしなければいけないので睡眠不足になります。睡眠不足だとどうしても次の日の仕事の生産性が悪くなりますので、出来れば夜は子供にもすやすやと寝て欲しいものです。

奥さんが専業主婦で夜中にお子さんを見ていてくれればいいのですが、共働きだとどっちが見るのかで揉めたりして夫婦関係も悪くなったりして悪循環になってしまいます。
こんな家庭の状況であれば、風邪を引いたお子さんに対して、風邪薬がフルコースで出てもお子さんの症状が抑えられればその家族にとっては処方してくれた先生は良い先生となるでしょう。

医師の先生の中には風邪は薬を飲まなくても治るから大丈夫と薬は小児には毒だ、という考えの先生もいらっしゃるので、薬を出してくれない先生は「あそこの先生は風邪薬も出してくれない」となってしまいます。
しかし、夜子供と起きていても生活に影響がなければ、必要ない薬を出さない医師の先生が「子供のことを考えてくれる良い先生」となり薬を出す先生が「こんなに薬を出して子供のことを考えていない良くない先生」となってしまいます。

解決策としては、現在はクリニックや診療所も沢山あると思いますので、自分の家庭環境にあった診療をしてくれる医師の先生を見つければ良いと思います。

小児の風邪薬:解熱鎮痛薬(消炎剤含)

熱はなぜ上がるのでしょうか?

この疑問の答えが分かると、解熱鎮痛薬を上手に使えるようになります。
熱は体の中で免疫が菌と闘うのに一番適した体温が40℃だからです。ですから熱が上がるのは私たちの体が菌と闘う体制を整えている、ということになりますので、熱を下げてしまうと免疫の力が弱くなってしまい菌を殺せなくなってしまいます。以前は熱が高い時は強い解熱剤(昔はポンタールという薬などが使われていました)が処方されていました。しかし熱を下げると体の中の菌が減らず、髄膜炎という菌が脳の中に入ってしまう病気になるお子さんが全国で多くみられるようになりました。髄膜炎になると後遺症が残ったり、最悪死亡してしまうこともあるため、インフルエンザや風邪の時はお子さんには強力な解熱薬は使わないことになりました。
その後は比較的効果がマイルドなカロナール(一般名アセトアミノフェン)が処方されるようになりました。

では熱の高いお子さんにはどう対処したらよいのでしょうか。

  1. アイスノン等で冷やす
  2. 解熱剤を使う
  3. お子さんを見守る

1、アイスノン等で冷やす

冷やす場所は後頭部・脇の下・股の間の3か所です。太ももの間はズレてしまうことが多いので2か所でも十分です。おでこに巻くタイプのものを脇の下や股の間に挟んで固定してあげるとズレにくくなります。

2、解熱剤を使う

5~6時間38℃以上の熱がある場合はお子さんの体を休めてあげるためにも一度解熱剤を使って熱を下げてあげましょう。この時少し元気になると思いますので、出来るだけ水分補給をしてあげて食事も取れれば消化の良いものを食べさせてあげましょう。解熱剤が切れるとまた熱が上がりますが、その間は再度アイスノン等で冷やしてあげて下さい。
私は夜眠りたかったので、寝る前に解熱薬を飲ませてました。比較的朝まで寝てくれるので、こちらも次の日の仕事に差し支えることが少なくなります。

3、お子さんを見守る

また熱が高い時はおこさんのそばにいてあげて下さい。熱が高い時は熱性けいれんを起こすお子さんもいます
初めて起きた時は、凄くびびりますが、すぐにおさまるので、おさまってからクリニックや診療所を受診しましょう。うちの子はてんかんという病気を持っていて小さいころから熱性けいれんに似たてんかん発作というものを起こしてました。最初起こした時は、「ああ、この子死んじゃうのかな」と思いましたが、20年経った今では発作は日常茶飯事で「ああ、発作か」という程度になってしまっています。慣れって怖いですね。
話がそれてしまいましたが、熱が高い時はお子さんを見守ってあげて下さい。もしけいれんが起きた時は横向きに寝かせてあげて下さい。まれに吐いてしまうことがあるのですが、仰向けに寝ていると吐いた物がのどに詰まり窒息してしまいますので、吐いた物が口から出るように横向きに寝かせてあげて下さい。一番最初の発作の時は熱性けいれんかてんかん発作か分かりませんので、5分以上発作が治まらない時は救急車も考えた方がいいです。

海外では小児の風邪はどんな薬が処方されているの?

海外では小児の風邪薬はどんな薬が処方されているの?

では海外では小児の風邪薬はどの程度処方されるのでしょうか。

カナダでの例ですが、そもそも日本で処方されている鼻水止め、咳止め、解熱鎮痛薬(抗炎症薬)は保険適応になっていないようです。ですからクリニックや診療所にかかっても医師の先生からは処方せんは出ません。じゃどうしているのかというと、「薬局で薬を購入してください」と言われるそうです。
日本では保険が効いて1割や3割負担又はお子さんは無料になっていると思います。これが10割負担で3000円とか5000円になります。となったらどうでしょう、風邪薬もらいますか?ほとんどの方は薬をもらわないでしょう。

カナダの人達はどうしてるんだろう?思うでしょう。咳にはスチームで喉の乾燥を抑えたり、ハチミツレモンなどの水分を摂ったりして対症療法していて、鼻水にはやはりスチームで乾燥を抑える又は生理食塩水で鼻の中を洗ったりして対症療法しているようです。発熱に対してはアイシングというのは日本と同じようです。
しかし抗生物質や抗菌剤だけは保険適応になっているようで、抗生物質や抗菌剤が必要な時のみ処方せんが発行されるそうです。

またカナダでは6歳未満の小児には風邪の対症療法の薬を飲んで副作用が起きることを考えると、風邪の対症療法の薬を飲ませないほうがリスクが低い、という考えの医師の先生がほとんどのようです。

この様に国民皆保険制度の日本人にとって、海外で国民皆保険制度をとっていない国のお薬事情を聞くとびっくりすることだらけですね。

まとめ:小児の風邪薬の処方例

まとめ:小児の風邪薬の処方例

  1. 個々の家庭の事情によって風邪薬を処方してもらったほうが良い場合と処方してもらわなくても大丈夫な場合がある。
  2. 医師の先生によって風邪薬を出す先生と出さない先生がいるので自分の家庭の事情に合ったクリニックや診療所を選ぶ。

クリニックや診療所に行けなかった時でどうしても薬が欲しい時は市販薬(OTC)で凌いで休日明けに受診をしましょう。

この記事であなたの人生が健やかになりますように。

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