エンレスト錠の副作用で薬剤師が注意すべきこと【服薬指導どうする?】

循環器

スポンサードサーチ

エンレスト錠の副作用で薬剤師が注意すべきこと【服薬指導どうする?】

新人薬剤師「新薬のエンレスト錠が採用になったけど、患者さんに副作用の説明をするときに何の副作用に気をつけるように服薬指導したほうがいいのかな?」

こんな疑問に答えます。

この記事を書いた人

・薬剤師歴26年、接した患者さんは数え切れず
・常に患者さんの立場に立って考え服薬指導をしてきた
・現在は薬剤師とクリニックの事務長を兼任

先日香川大学の西山 成 教授の講義を聞きましたので記事におこします

エンレスト錠で気をつける副作用は血圧低下

特に投与開始時及び増量時

この記事でわかること

  • エンレスト錠の概要
  • エンレスト錠の薬効薬理
  • エンレスト錠の服薬指導

エンレスト錠の概要

エンレスト錠の概要

新しい薬効のカテゴリー【ARNI(アーニー)】

エンレスト(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)は、1剤でネプリライシン(NEP)阻害作用とアンジオテンシンⅡタイプ 1(AT1)受容体拮抗作用の 2 つの薬理作用を発揮する、新たな心不全治療薬である。

エンレスト錠の効能・効果

慢性心不全

ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

エンレスト錠の注意事項

本剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬から切り替えて投与すること。

(解説)
本剤は、ACE 阻害薬又は ARB の前治療により忍容性が確認された患者に、ACE 阻害薬又は ARB から切り替えて投与する薬剤であること、適応患者を適切に選択する必要があることから、設定した。

エンレスト錠の用法・用量

通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして 1 回 50mg を開始用量として 1 日 2 回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4 週間の間隔で段階的に 1 回 200mg まで増量する。

1 回投与量は 50mg、100mg 又は200mg とし、いずれの投与量においても 1 日 2 回経口投与する。

なお、忍容性に応じて適宜減量する。

エンレスト錠の併用禁忌

ACE阻害薬

36時間間隔をあける
併用により相加的にブラジキニンの分解を抑制し、血管浮腫のリスクを増加させる可能性があります。

ラジレス(アリスキレンフマル酸塩)(糖尿病患者のみ)

非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加がバルサルタンで報告されています。
併用によりレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害作用が増強

スポンサードサーチ

エンレスト錠の薬効薬理

エンレスト錠の薬効薬理

新しいカテゴリーARNI(アーニー)

Angiotensin Receptor Neprilysin Inhibitor
アンジオテンシン受容体―ネプリライシン阻害薬
合剤ではなく複合体

アンジオテンシンの薬効薬理はご存じかと思いますので、ここではネプリライシンについて解説します。

ネプライシン(以下NEP)は利尿ペプチド(ANP・BNP)を切断(壊す)する

エンレスト錠はネプリライシン阻害薬→利尿ペプチド(ANP・BNP)を増加させる

利尿ペプチド(ANP・BNP)の主な作用

  1. ナトリウム利尿作用(血圧低下)
  2. 血管拡張(血圧低下)
  3. カテコラミン分泌低下(交感神経抑制)
  4. 組織のリモデリングや組織障害抑制
  5. レニン分泌、アルドステロン産生低下
  6. アンジオテンシンⅱ作用低下(RAAS抑制)
>ANPは心房、BNPは心室で作られる。

心不全の時にたくさん作られるのがANP、BNP→心不全の血液検査の指標

ANP、BNPが増加→cGMPが増える→血管拡張・利尿作用

エンレスト錠の服薬指導

エンレスト錠の服薬指導

服薬指導の例

「このお薬は心不全のあとの心臓を保護するお薬です。お薬を飲んでいて、めまいやふらつき、立ちくらみなどの症状があったら病院か薬局に相談して下さい。」

低血圧に注意する

  • 低血圧の時の症状
  • めまい・ふらつき・立ちくらみ・体がだるい・疲れやすい
  • 冷や汗・動悸・手足の冷え・顔面蒼白

注意すべき患者さんへの服薬指導例

「先生から何か注意することは聞いてますか?」

「毎日血圧を測って下がり過ぎるようなら受診するように言われています」

「そうですか、めまい・ふらつき・立ちくらみなどの症状も血圧が下がっている時に起こる症状です。症状が出た時も血圧をはかるようにして下さいね」

注意すべき患者さんは?

  1. 腎機能障害(eGFR 90 mL/min/1.73m2未満)のある患者さん
  2. 中等度の肝機能障害のある患者さん
  3. 血圧が低い患者さん
1と2は>薬が効きすぎてしまう
3は血圧低下の副作用が出やすい

薬剤師が服薬指導で薬が効いているかどうかを確認することは難しい

正確に判断するには尿中のcGMPの量を測定しなければならないから

薬剤師は安全性の確認に徹する→低血圧(ふらつき)起きていないか

服薬指導では副作用の発現をチェックすることが重要

スポンサードサーチ

薬剤師が知っておくべきエンレスト錠の注意事項

薬剤師が知っておくべきエンレスト錠の注意事項

50mg 錠と 100mg 錠又は 200mg 錠の生物学的同等性は示されていないため、100mg 以上の用量を投与する際には 50mg 錠を使用しないこと。
合剤ではなく複合体
複合体にしたメリットはありますか?→比較試験をしていないので分からない
服用中BNPが上昇することがあるが心不全ではない(もともとの薬効)

薬剤師がエンレスト錠の服薬指導で特に気をつけることは

低血圧の副作用が出ていないかどうか

ふらふらしたりしていないか

この点を十分に注意して服薬指導をしていきましょう

参考
エンレスト錠の添付文書
エンレスト錠のインタビューフォーム