ベルソムラ錠で悪夢・体重増加の副作用

ベルソムラ錠で悪夢・体重増加の副作用

ベルソムラ錠で悪夢・体重増加の副作用

  • この記事を書いている人
  • 薬剤師歴26年の現役薬剤師です。
    患者さんから睡眠薬で悪夢を見るという相談を時々受けます。
    患者さんにとっては薬を変えてから悪夢を見るようになったのだから薬のせいだ、と思うのは当然のことです。
    しかしなぜ悪夢を見るのかが分かれば患者さんへの服薬指導に活かせますのでよく理解して下さい。

ベルソムラを飲み始めた患者さんからこの薬を飲み始めてから怖い夢をみるようになったし、体重も増えちゃったのよ。薬のせいかしら?と相談がありました。

ベルソムラ錠での悪夢について

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。

  • レム睡眠:脳が起きていて体が眠っている状態
  • ノンレム睡眠:体が起きていて、脳が眠っている状態

睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に繰り返されますが、レム睡眠中に私たちは夢をみます。レム睡眠の時間が減ると体の休みが取れず、長く眠ったのに疲れが取れない、という現象が起こります。ベンゾジアゼピン系の薬はレム睡眠と深いノンレム睡眠を抑制するため、浅い眠りになってしまい睡眠の質は悪くなります。しかしベンゾジアゼピン系ではレム睡眠を抑制するため、夢をみなくなります。

この為、よくベンゾジアゼピン系からベルソムラ錠に処方変更された場合は夢をよくみるようになります。夢はその時の精神状態によって、良い夢になったり悪夢なったりするようです。不眠状態になっている場合はストレスがあったり、悩みがあったりする状態が多いため、悪夢になりやすくなるようです。

薬剤師としてはベンゾジアゼピン系からベルソムラ錠に変わった場合は悪夢の副作用に注意しなければいけません。

またなぜ夢をみるようになったのかを、きちんと患者さんに説明して、必要であれば疑義照会(問い合わせ)をして処方を変更してもらったり、ベルソムラ錠を減量してもらったりしたほうが良いでしょう。

悪夢をみても問題ない、悪夢も見るけれど楽しい夢も見るという患者さんに対しては、そのまま様子を見て、よく眠れるようになったことで悪夢から良い夢に変わることを期待しても良いかも知れません。楽しい夢が徐々に増えてくれば問題ないことを患者さんに説明しましょう。

ベルソムラ錠で体重増加

ベルソムラ錠で体重増加
よく「ベルソムラ錠を飲み始めから体重が増えた!」という話を患者さんから聞きますが、ベルソムラ錠で体重が増加することはあるのでしょうか。

ベルソムラ錠の市販後調査(薬が発売されてから行う調査)では体重増加の副作用の報告は1.427件中1例とほとんど体重増加の副作用はありませんでした。よくネットなどでみかけるベルソムラ錠を服用し始めてから体重が増えた!というような書き込みは、ベルソムラ錠が原因ではない場合が多いのかもしれません。良い睡眠が確保出来たことで精神状態が良くなり、食欲も消化機能も以前より良くなって、結果として体重が増えた。という場合も多いのかと思われます。

患者さんから「薬を飲み始めてから体重が増えた」という相談があった場合には、安易にベルソムラ錠の副作用だとは思わず、疑義紹介をする前に患者さんの生活背景や変化などについて詳しく聞いてみた方が良いかも知れません。

これとは逆に「以前と同じで眠れないのに体重が増えた」という患者さんもいるかも知れません。この場合も不眠のストレスや深夜に起きていることで食欲が増進して体重が増えているのかも知れません。

しかし1500人に1人は体重増加の副作用がありますので、次回診察時に医師に体重が増えていることを報告して下さいと患者さんに説明しておいたほうが良いでしょう。

ベルソムラ錠の名前の由来

ベルソムラ錠名前の由来
豆知識となりますが

Bell(美しい、beautiful)+Som(眠り、sleep)

Bellは美女と野獣のベルでなじみがあるんですが、Somは何語なんでしょうね?

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