【失敗しないSOAP】新人薬剤師のための薬歴の書き方
SOAPで薬歴を書くように言われたけど、何を書けばいいかわかならいな?
こういった悩みに答えます。
薬歴がない頃から薬剤師をやっています。薬歴を書き始めたときは自分も何を書いていいかわからず悩んでいました。新人薬剤師向けにSOAPの基本を記事にまとめました。
この記事を読むとわかること
✅SOAPってなんだろう?
✅各項目に何を書けばよいかわかるようになる
SOAPってなんだろう?
SOAPは薬歴を書きやすくするためのフレームワークです
SOAPの意味
✅S:Subjective:主観的情報
✅O:Objective:客観的情報
✅A:Assessment:評価
✅P:Plan:計画
この4つを基本にして薬歴を書くことです。もともとは看護師が書いていたPOSの書き方を参考にして作られました。
各項目の意味はわかたにゃ、でも何を書けば良いにゃ?
- S:患者さんが話したことをできるだけ口語調で書く
- O:自分が目で見た情報を書く
- A:なぜ、それを患者さんに説明したか書く
- P:患者さんに説明したことを書く
この4つの内容を書けばいいことになります
では具体的にどんなことを書けば良いのかを見ていきましょう
誰でも書けるSOAPの書き方
S:Subjective:主観的情報
Sに書くことは患者さんが話したこと
Sには患者さんから得られた情報、つまり患者さんが話した内容を書く。
SになったりOになったりする情報の代表として「血圧」があります。
血圧をSに書く場合の患者さんとの会話例
今日は血圧が高くて、165/88もあったにゃ
あら、なにか心当たりはありますか?
きのう眠れなかったからかもしれないにゃ・・・
続くようなら、眠れるようになる薬もあるので医師に相談してくださいね
こんな会話をしたら、「S」に血圧:168/88と記載します。余談ですが今回の場合ば、血圧が上がってしまった原因もわかっているので『A』に不眠が原因で血圧上昇と記載しましょう。そして次回確認しなければならない事項、「OP」に次回血圧確認、よく眠れるようになったかも確認する、と記載しておきます。
お薬手帳や血圧手帳から血圧が165/88あったことがわかった場合、「O」に血圧:165/88(血圧手帳より)と書きます。
同じ情報でも患者さんから聞いたら「S」、自分が見たら「O」に記載
Sに書く時は患者さんから聞いた言葉をそのまま書くことが重要です。
人によっては簡潔に書いたりしますが、患者さんが話した言葉をそのまま書くことをおすすめします。
患者さんから聞いた言葉をそのまま書いた方がよい例
きのう夜中に怖い夢をみて目が覚めちゃってさ〜、それから全然眠れなかったよ・・・
この情報を簡単に書いてしまうと、夜中に目が覚めて、その後眠れず、となります。しかしこの文章からは患者さんの感情が全く読み取れません。口語調で書いた場合は患者さんの「いや〜まいったよ」という感じがあり、それほど気にしていない様子がわかります。できる限り患者さんが話した言葉を書くようにしましょう。
耳から入ってきた情報は「S」、目から入ってきた情報は「O」に記載と覚えておこう。
O:Objective:客観的情報
Oに書くことは、自分が見たことの情報
Oに書くべき情報
- お薬手帳、血圧手帳、糖尿病手帳など
- 血液検査などの結果表の数値
- 患者さんの顔色や全身の見た目
- 患者さんの患部の状態(傷、湿疹など)
重要なのは手帳の数値だけに気をとられないで、「患者さんを観察する」ことです。
患者さんを見るポイント
✅顔色はどうか
✅足を引きずったりしていないか
✅匂いはどうか
最初は薬の説明で頭がいっぱいで患者さんを見る余裕などないでしょう。しかし、意識することで少しずつ患者さんを観察できるようになります。薬の説明が終わるごとに患者さんの目を見ましょう。説明ごとに患者さんを見ることになるので変化に気づきやすくなります。
今日は頭が痛いにゃー
と患者さんが言ったら、頭部を観察しましょう。頭痛の場合もあるし、外傷の場合もあるかもしれません。(慣れてくれば処方せんを見ればわかるようになりますが)
新人薬剤師にありがちな行動として、「〇〇さん〜お待たせしました」と患者さんを呼んだあとに、処方せんや薬を見てしまいます。しかし患者さんがカウンターに来るまでの間に、患者さんをよく観察してください。
患者さんがカウンターに来るまでにチェックすること
✅患者さんがイスから立ち上げるときの動作
✅カウンターに近づいてくるまでの動作
✅カウンターに来たときの顔色やにおい
この3つを意識して観察しましょう。すぐに実行しましょう。見た情報は「O」情報に記載します。
A:Assessment:評価
Aに書くことは、 なぜ患者さんにその説明をしたのか、薬の説明をした理由
薬歴を書きはじめて最初の関門になるのがアセスメントを書くことです。
アセスメントを書く考え方として最初に覚えてほしいのは、「自分はなぜ患者さんにその説明をしたのか?」を考えることです。
最初にPを書いてしまいましょう。その後でアセスメントを書くとスラスラと書けるようになります。
P:血圧を下げる薬が出ていると説明した。
A:血圧が156と高いため、血圧の薬が処方された。
初回の薬なので副作用も説明したとしましょう
P:めまいふらつきが出たら血圧が下がりすぎているかも知れないので受診するように伝えた。
A:始めて血圧の薬が処方されたため副作用・注意点について説明する必要があった。
このように最初に「P」の説明を書いて、そのあとで「P」の理由を書くと「A」が書きやすくなります。
P:Plan:計画
Pには患者さんに説明したことを書く
Pには自分が患者さんに説明した言葉をそのまま書きましょう。
基準調剤加算(今の地域支援体制加算)をとるときに関東信越厚生局に申請にいきました。その時に患者さんの薬歴を3人分持っていき、係の方から質問を受けました。
「薬歴は誰がみてもわかるような言葉で書いてください」
受け答えの中で、言われた言葉です。つまり口語調で書いてくださいということです。
「薬効用法を説明しました」
とよく書きますが
と自分が患者さんに説明した言葉をそのまま薬歴に記載してくださいということです
「P」は3つに分けて書くと書きやすい
「P」は細かく3つに分けて書くことができます
- Ep(Educational Plan):患者さんへの説明
- Cp(Care Plan):今後の患者さんの予定の説明
- Op(Observational Plan):次回確認して欲しいこと
Ep:Educational Plan 患者さんへの説明
普段Pに書いていることです
できるだけ口語調で書きましょう
Cp:Care Plan 今後の患者さんの予定の説明
次回以降患者さんに起こることやってもらいたいことなどを説明したときに書きます
例えばステロイドが出ていて漸減で飲む場合
徐々に薬の量が減っていく、薬を飲み終わったら必ず受診するように伝えます
このように今後どうなるかを患者さんに説明した場合に「Cp」に書きます
Op:Observational Plan 次回確認して欲しいこと
初めて処方された薬があって次回に副作用が出ていないか効果があったかなど確認すべきことを書きます
書いておくと次回他の薬剤師が投薬することになったときに確認すべきことがすぐわかり、薬歴全部を読む必要がなくなりますので時間の短縮になります。
SOAP書き方まとめ
SOAPに書くことを簡潔にすると
- S:患者さんが話したことをできるだけ口語調で書く
- O:自分が目で見た情報を書く
- A:自分がなぜそれを患者さんに説明したか理由を書く
- P:患者さんに説明したことをできるだけ口語調で書く
薬歴は最初これだけを書いておけば問題はありません
明日からガンガン薬歴を書いていきましょう!